センターつうしん No.115
今号は、研究センター設立30周年を記念して行われた佐藤学さんの講演「子どもと学校の危機をどう克服するか」と、センターにさまざまな形で参加・協力いただいてきたみなさんに「教育への思い・センターへの期待」を寄せてもらいました。
30年前のセンター設立の記念講演は、教育学者の大田堯さんでした。その後、よちよち歩きを始めたばかりのセンターへ、最初の講演に来てくださったのが佐藤学さんでした。たしか東北大学に夏の集中講義に来たときだったと記憶しています。その後も、岩波から出された『教育改革をデザインする』に大いに刺激され、じかに話を聞きたいと足を運んでもいただきました。振り返ってみるとセンターの活動や教育・子育てのあり方を考える節目節目で、佐藤学さんにはおいでいただいてきました。
今回も、子どもの生きづらさと学校・教師の困難がさまざまな形で語られるなかで、「学びの共同体」による学校・教育改革を提唱し、その取り組みを全国、そして世界へと広げている佐藤学さんを招いて、激変する世界と日本の情勢を踏まえながら、今日の教育施策・教育産業の動向と進展のなか、どのような改革が必要なのかを大いに語っていただきました。
「教育への思い・センターへの期待」(その1)では、様々な矛盾や困難があるなかで働く保育現場や学校現場の先生方に、それぞれ声を寄せていただきました。現場だからこそ感じる率直な思いや願いが語られていて、いろいろなことを考えさせられます。
読者の声
6月8日のシンポジウム、楽しみにしていましたが、社用で参加できませんでした。センターつうしん、これからゆっくり熟読させていただきますが、佐藤先生の「子どもは人材ではない」のフレーズ、とても心に残っています。50余年前に感じた生きづらさを私たちが放置した結果が、今の社会につながっていると反省しています。(アベコウイチさん)
教員の長時間過密労働、休職者・退職者の増加、また教員不足、教員採用受験者の減少等々、教育を取り巻く状況は、改善されるどころか増々深刻さを増す一方である。他方、軍事費の大幅増加、教育・医療・福祉予算の減少等、「人殺し」予算を増やし、「人を育て命を守る」予算を削減するという、金権腐敗の自民党悪政が、未だ続いて結果、教育予算のレベルは「先進国」中、最低レベルで、もはやとても先進国とは言えない状態である。その中で、教員は「定額働かせ放題」、部活動手当てに至っては、最低賃金レベル以下の状態である。
(イトウナオヒロさん)
『東日本大震災・宮城の高校生犠牲者調査報告 3・11命を守る「伝言」』を拝読し、改めて被害の甚大さを感じました。県教委にも送っていただきたく存じます。(本来は行政がやるべき仕事だと思います。)ご苦労様です。
研究センター30周年記念講演:佐藤学氏のお話は大変参考になりました。気になったのは「子どもの危機 学びと文字からの逃走」でした。10代は、視覚優先で文字情報を十分に吸収していない傾向があるのでしょう。視覚文化を豊かにするのは、文字・活字文化だということを分かってほしいと若者に伝えていきたいものです。「センターつうしん」のような紙媒体はとても大切だと思います。(オノデラシュウコさん)
佐藤学先生の講演内容、とても迫力がありました。子どもと学校の危機の内容がよくわかりました。でも、だからこそ危機をチャンスととらえて革命を起こす必要があると実践成果をまじえてのお話には、希望も前向きの力も感じました。よい方向への模索をあきらめずに続けていかなければと思いました。学校現場にいるわけではありませんが、同じような状況はどこにでもあり、励まされる内容でした。(ノザキエミさん)
『命を守る「伝言」』隅々まで読ませていただきました。地道なお仕事、よくぞなさって下さいました。頭が下がります。広めなければと思ってます。
佐藤学先生の記念講演、うなりながら読みました。今の時代に真に求められる教育とは何か。国際的視野で提言。実は孫が小5年。学級崩壊で不登校になったと語る友人と、教師の力量が落ちているのでは・・・等々こもごも語り合いました。その背景と打開の方向など、また語り合おうと思います。(ツツミトモコさん)