企画・講座
TOP > 企画・講座 > トップページ表示 > 未来可能性について考える14
ゼミナールSirube
未来可能性について考える14
日 時 2024年7月29日(月)
13:30~16:00
会 場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 太田直道 著『人間とその術』
内 容

テキスト『人間とその術』と太田先生作成の補足資料を読み合い、その内容について意見交流しながら学習して行きます。テキストは、毎回1節ずつ読み進める予定でいます。
今回は、テキスト「第5講 破局と終末-末法の時代を考える」の 《2 末法と終末》を読み合います。
途中からの参加でも大丈夫です。興味のある方は、ぜひご参加ください。お待ちしてます。

前回の
様子

今回は、第5講 破局と終末の「1 カタストロフィについて」でした。
今回も、太田先生と本屋との議論が面白かったです。相変わらず、本屋先生は、この破局は教育の力で救えると話し、太田先生は、破局は必ず来ると主張しました。私は、太田先生の論に賛成です。教育の力に期待したいのですが、教育するとしても、このことを認識して、授業で取り上げる先生がどれだけいるか、どんな内容を用意するのか、難しいと思うからです。現に今、福島の原発が爆発してさえいても、そのことを授業で取り上げ、子どもとともに考えている先生がどれだけいるでしょう。指導要領になく、教科書でも扱われていない問題を、先生方が取り上げることがあるとは到底思えません。また、それらは、政治的な問題も孕んでいるので、なお難しいと思われます。原発は、発電時はCO2を出さないから環境にいい、なんて政府の言うことを真に受けている先生もいるでしょう。その前のウランの採掘の問題、使用済み核燃料の問題など、解決していない問題が山積みなのに、電力不足を補うためには、仕方がないと思っているようです。
原発を作っている人たちも、そういう意識でしょう。その意味で、デュピュイの「巨大な悪は、悪意が完全に不在」という言葉は、本当だなあと思わされるのです。もう一つデュピュイの言葉「最善の意図であっても、人間の実行能力がある臨界値を超えてしまうと、破局をもたらしうる。」というのは、情報の問題にしても、生命への技術操作にしても、もう既に、臨界値を超えてしまっているのではと感じられるのです。なぜならAIは、自分自身で判断して、人間に対して行動を起こしそうだし、卵子や精子の凍結は、今後命の売買や選別につながりそうです。
薄々、なんかこのままではダメだよなあと思っていても、また、破局が来そうだなあと感じていても、「問題は、自分が知っていることを信じていないこと」というのは、納得します。信じたくないのです。
太田先生は解決策として、近代をやめること(効率優先、経済優先、つまりお金が一番という考え、より速く、より多く、より強く、よりおいしく、より・・・、より・・・、より・・・)、現代文明をやめること、野性に返ることを主張しています。野性に返ることというのが、面白いと思いました。しかし、この文明を知ってしまった人類にとっての野生は、「人間らしい野生」と表現していらっしゃいました。興味深いです。
太田先生は、「下りろ、止めよ、下がれ!」とおっしゃいました。後退の論理です。人類がそれを選択できるのか。まずは、私が選択できるのか。
最近、朝日新聞を退社した稲垣恵美子さんの『魂の退社』という本を読みました。節電は、私もしているつもりになっていましたが、まだまだ甘いと思い知らされました。稲垣さんは、電気を全く使わないのです。夕方家に帰ってきたら、まず玄関の鍵穴を探すのに、暗いなかでしばらく目をこらし、目が暗闇に慣れてくるのを待つというのです。そうすると、目が慣れてきて、ぼんやり見えてくる。そして、その暗がりの中で、鍵を開け、トイレに行ったり、晩ご飯の支度をしたり、いろいろやるというのです。凄い方です。
私も今、できることを真似しています。昼間は絶対に電気を付けない。夕方も、日が落ちるまでは付けない。そうすると、無意識に自分が電気のスイッチをすぐに付けていたということに気付きました。「人間らしい野生」いろいろ模索していきたいです。
今回もとても面白い学習でした。次も楽しみです。(YABE)