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未来可能性について考える8

日時 2024年1月15日(月)
13:30~16:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 太田直道 著『人間とその術』
内容

テキストの『人間とその術』と、その補足資料を使いながら参加者で読み合い、その内容について意見交流しながら学習して行きます。テキストは、毎回1節ずつ読み進める予定でいます。
今回は、テキスト「第3講 崩壊論-作ったものは壊れる 《2 事故の哲学》」を読み合います。途中からの参加でも大丈夫です。心配する必要はありません。興味のある方は、ぜひご参加ください。お待ちしてます。

前回の
様子

今回のテーマは「崩壊」でした。 とても重いテーマで、暗い気持ちになります。
人間が作った制作物は、必ず崩壊し、ゴミになります。現代は、このゴミが地球を覆っています。海洋プラスチックの量は、2050年には、魚の数より多くなると言われています。これらのゴミを人間は、どうするのでしょう。
トイレのないマンションと言われている原発、運転の後の核のゴミを処理する術も無いのに、作り続けたり、運転し続けたりしていることに、私は、とても憤りを感じています。どうしてそんなことができるのか、全く理解不能です。しかし、太田先生が書いていらっしゃるように、「技術というものは、欲情的なものが目の前に現れるとあらゆる自制のための制御装置を外してとことんやり尽くさないと気がすまないものらしい」のです。AIを見てもそうです。欲情とは経済、すなわち金もうけでしょう。原発は、原爆よりもやっかいです。原爆は、ほとんどの人が恐ろしさを感じ、もう二度と使用させてはいけないと思っています。しかし原発は、「善意の衣を着た悪意」なので、多くの人が、欲情に目がくらみ、危険と承知していても、賛成してしまうのです。こちらの方が恐ろしいです。
あの3.11の原発の爆発が、もはや過去のできごとのように扱われています。でもこれは、為政者による意識的な「政治的風化」だと、太田先生はおっしゃっています。政府に不都合なことには「風化促進剤」を播いていると言います。そしてそのような風化を引き起こす最終原因は、やはり「欲望」なのです。
私はこの原発のことで今、とても気になっていることがあります。それは、汚染水の放出の問題です。汚染水とは言わせず、処理水と表現されているあの水は、本当に安全なのか。しかし、日本は、「ゾーン(外部の一切を排斥し、その内部だけが特権的な意味を持つ空間)」の中にあり、汚染水の安全性について論議することができなくなっています。そんなことを言えば、風評被害にさえ敏感になっている福島の漁業関係者たちを敵に回してしまう。だから、日本人はみんな、疑問さえも投げかけられません。今回の放出にあたっては、風評被害が起きないように、たくさんの日本人が、積極的に福島の魚を買っています。でも、本当に大丈夫なのでしょうか? 科学的な基準などというのは、いつの時代も眉唾物です。為政者が都合のいいように作られているのです。高血圧の基準値は、以前は160だったのが今は、130になりました。それにより、儲かるのは製薬会社です。そんなことが、世の中には、うじゃうしゃあるのでしょう。やはり、「風化促進剤」を播いているのではと、疑います。
この風化を止めるためにどうしたらいいか、太田先生は、「愛の信念と無償の行為という高い宗教性を心に把持すること」と書いておられました。これを読んで私は、先日見た中村哲さんの映画を思い出しました。中村さんのようにはいかないまでも、強い精神力のある人が、関心を持って訴え続けたり、語り継いでいくことなのでしょう。
それにしても、人間の欲望は計り知れず、また、為政者の「風化促進剤」は強すぎて、明るい未来を想像することが難しいです。
今回気に入った言葉は、「精神の結び目」と「世界の結合法則」です。私たちは、この困難な時代でも「精神の結び目を解かない、解かれない」ように、固く心に決意すること、そして人間関係における分離に陥らず、「世界の結合法則」すなわち人間愛と連帯というつながりを強く作っていくことが求められていると思いました。