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『教育』を読む会11月例会

日時 2023年11月11日(土)
10:00~12:00
会場 10:00~12:00
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 『教育』2023年11月号
内容

【11月号】
特集1  学校の働き方改革 クライシスからぬけ出す道へ
特集2  「子どもの権利条約」と国・自治体・学校

『教育』では、これまでも『学校の働き方改革』を特集してきました。今や「働き方改革」は、待ったなしの状況です。
特集1は、「ブラック」な学校の現実を深く掘り下げ、この危機から抜け出す道を探ります。
2022年6月に「こども基本法」が成立し、この4月から新たなこども施策がスタートしました。それによって、これまで頑なに国内法への位置づけを拒んできた「子どもの権利条約」を位置づけ、子どもの権利条約の4つの原則が組み込まれました。
特集2では、子どもの権利条例づくりなど子ども施策を先駆的に取り組んできた自治体や実践を取り上げ、子どもの権利が守られる自治体、学校とは何かを考えます。(各特集「表紙のことば」をもとに作成)

前回の
様子

宮城『教育』を読む会10月例会の感想

10月14日(土)10:00~12:00に、みやぎ教育文化研究センターで『教育』を読む会を行いました。今回は、中・高の先生ほか8名の参加がありました。気仙沼から車で来て下さった方もいました!嬉しいことです☆
今回は、『教育』2023年10月号(933巻)の第1特集「生徒指導提要を読む」について、山本敏郎さんの論文「『生徒指導提要(改訂版)』総論をどう読むか」を輪読してから、話し合いをしました。
まず、「生徒指導提要(改訂版)」は、2010年版も含めて、「指導」ということばについて、教育の世界で通用してきた実際の意味(そこには子どもを管理・抑圧する意味合いも含まれてきた)と、子どもと共に生きながら営まれている教師の教育実践を支える教育学上の意義のいずれも検討されないままに用いているが、それでよいのかという論点が出ました。
この点に関わって、「提要」は、教師たちが大切にしてきた「生活指導」ということばと、このことばが示す教師の仕事の内実を顧みず、「小学校段階から高等学校段階までの体系的な指導の観点、用語を統一した方が分かりやすいという観点」(7頁)という理屈を立てて、このことばを排除しています。子どもたちの発達の課題や困難を、その社会的・家庭的背景や、様々な社会関係のなかで捉え、その克服を決して「自己責任」に帰すことなく、教室の中の関係性を作り変え、子どもたちが互いに学び合い、お互いを尊重し合う関係性をつくろうとする教師たちの営み。「提要」は、そうした教育実践に示唆を与えるものではなく、上からの「対策」を押し付けるものになっているのではないか。そんな話も出ました。
「提要(改訂版)」は新たに「2軸3類4層構造」を示し、特に「プロアクティブな生徒指導」(11頁)を重視しています。しかし、学校現場の教職員定数や労働条件等の現状に照らして、こうした構図が出されてもそれは現状を追認するもので、生徒への働きかけについて新たに何か新しい動きが生まれることにはつながらないのではないか。あるいは、「問題行動」を未然に防ぐことがよしとされているが、問題行動であるかどうかをカウントして報告するかどうかに汲々となる管理職、問題行動ではなく、子どもたちの関係性をつくり直すきっかけとして捉えること、そうした行動を起こした子どもの言い分を聴くことが疎かになるのではないかという発言もありました。
今回の「改訂」が、2010年版の「提要」のどのような点を、いかなる観点から反省した上で行われたかについて、何の説明もないという意見もありました。「扉」にもあるように、「改訂」までには「比較的丁寧に経過が公開され」た(4頁)わけですが、たとえば「いじめ」に関しては、「ゼロトレランス方式を強調してきた文部科学省」(伊東毅論文「生徒指導提要といじめ防止対策」19頁)の反省はどこに示されているのか、いじめに対するアンケート調査と結果報告義務が教職員にも子どもたちにも過度な負担になっている現状を踏まえない、さらなる「アンケート調査の強調」(伊東論文、18頁)をどう考えるかについても話し合いました。
生活指導と生徒指導ということばの関係について、学習指導や教科指導との関わりも含めて、機能と領域の観点から、子どもたちの育ちを願う私たちがどのようなものを求めていくのかについてもさらに考えていく必要があると思いました。
(文責:本田伊克)