『教育』を読む会 12月例会

日時 2017年12月23日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
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参加費 無料
テキスト 『教育』2017年12月号
内容

特集1 「ブラック企業」社会に教育は・・・
特集2 生きさせろ #最低賃金を1500円に
ブラック企業という言葉が聞かれるようになってずいぶん経ちます。本来あまり定着してほしくないコトバですが、それが現実です。仙台の某有名大学でも非正規職員3000人を雇い止めにするという話も聞こえてきます。
健康で安心・安全に働ける会社や職場にしていくためには、労働法制や社会保障の改善・拡充とともに、これまでの教育のあり方にも目を向けていく必要があります。
今回の特集では、現在のキャリア教育の現状なども踏まえながら、主権者教育や生活指導実践をも含んで教育の課題を考えるとともに、最低賃金1500円を求める若者たちの取り組みや思い、それを支える弁護士などの取り組みに学びます。

前回の
様子

11月18日(土)、11月例会を行いました。参加者は、小・中・高の教員を中心に7名でした。
今回は、特集1「学力・学習状況調査で学校・家庭は」から曽和重雄論文(「ハムスター・ホイール」化する学校―調査結果に走らされる教師たち)と、中嶋哲彦論文(なぜ、全国学力・学習状況調査に参加し続けるか-教育委員会の責任と権限)を読み、話し合いました。
曽和論文では、学力・学習状況調査の結果にもとづく「学力向上」対策、それとも連動したPDCAサイクルによる管理・評価システムのなかで、授業や学校生活、はては家庭生活にまである決まった形式のスタンダードが強制され、教師はハムスターホイールを走り回るかのように、学校の職務に追い回されている状況が報告されています。話し合いの中では、以下のような意見や感想が聞かれました。
・曽和論文にあるように、授業で「めあてやまとめを書く」というようなことはしばらく前から行われており、子どもたちのノートの書き方や教師の板書の仕方なども決まった形式が求められたりしている。
・そもそも教科書のつくりが、見開き2ページで授業1時間分というように画一的になっている。
・学力・学習状況調査が子どもの学力や学習状況など実態を知る唯一の物差しとなっていく中で、建前としては子ども一人ひとりに応じた指導の改善などと言われるが、実際にはその指導はどんどん画一化し、調査という名のテストの点数を上げる授業づくりになっていっている。そのような中で、教材や教育内容、指導方法がコントロールされ、それらについて深く考えないようになって行っていると感じる。
・教育課程の自主編成などと言うことが以前はよく言われ、また学校でもそういう取り組みをしてきたが、そういうことがまったくできないような状況になっている。
・「主体的で対話的で深い学び」が求められ、そういう方向での授業改善が言われるけど、クラスサイズなどを含む学習環境の改善なんかはまったくなされない。

次に中嶋論文についてですが、中嶋論文は学力・学習状況調査が実施されて10年が経ち、この調査が常態化するなかで、改めてこの調査の権限主体と責任がどこにあるのかを明らかにしています。中嶋さんと言えば、この調査が実施された当初、不参加を表明した愛知県犬山市の教育委員の一人であったことを思い出します。本論考は、そのような当事者として関わった経験も踏まえながら、教育行政への期待も込めて、その課題が指摘されていると感じました。