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研究年報 第2号 2022
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価 格 無料
発行年 2022年4月25日
在 庫 あり
本書の
紹介

研究年報第2号の発刊に当たって

 本研究センターでは、昨年(2021)度、重要課題となったコロナ下の学校現場とそこにおける子どもの実状を探るべく、研究部を立ち上げ、研究年報を創刊することにしました。その研究年報の中身は、①コロナ禍の学校教育問題に関するアンケート調査報告、②その実態に関する教育課題の論考、③新型コロナに向き合う授業実践の研究報告、そして年度内に行ったセンターの活動資料(コロナに関する講演や座談会記録)でした。

今年度の年報第2号では、そのコロナ禍が継続する中において、急遽進捗した国策の「GIGAスクール構想」に焦点を当て、それが誰のため、何のためなのか、そしてそれを学校現場はどう受け止め、どういう現状にあるのかを探ることにしました。すなわち、「なぜ今、義務教育段階の子どもたちに、国民の税金から一人1台のタブレット端末を無料配布してまでICT教育を全国一律に普及させようとするのか」「それが子どもたちにどういうメリットがあるのか」という問題に迫りたいと考えたからです。
アンケート調査は、宮城県下の150人の教員に回答を寄せていただいたものですが、その結果から感じることは、どうしてこうした教育改革が突如始まるのか、GIGAスクール構想とは一体何なのか、子どもらの未来に本当に不可欠なのか、といったことが現場で十分話し合う間もなくタブレットが教室に届き、それを使った授業をできるだけ速やかに実施するようにと動き始めた感があることです。こうした状況のなか、多くの教員は、この上からの施策に対して、「そういう時代」かと受け入れざるを得ない気持ちと、「これまでと異なる教育のあり方」への違和感の両面が入り交じった対応を感じます。
とりわけ、情報通信器機にある程度慣れている若手教員層と不慣れなベテラン教員層による反応の違いを感じますが、それは単なる教育器機への対応の順応性の問題ではなく、これまで積み重ねてきた教育実践がないがしろにされるあり方への躊躇が感じとれるのです。このタブレット導入による学校教育の変質の姿をどう考えるべきか、このことは、これからの学校教育のあり方にとって極めて重大な局面だといえるでしょう。

本年報では、①まずは県内現職教員へのアンケート調査結果を提示し、②こうした現況に対して元教員と現職教員から自ら行ってきた(いる)実践をもとに、今後のあり方への問題提起をしてもらった上で、③当センターの研究部員である研究者から課題提起をしてもらう内容構成をとりました。ともあれ、現下の日本の学校教育は、戦後の大きな曲がり角にきていることは間違いないでしょう。人間の発達段階にある子どもにとって学校はどんな場であるべきか、教員にとって教育の仕事とは何なのか、が大きく問われている事態だと思われます。本誌がそのことを問い、熟考する一つの資料になれば幸いです。

(みやぎ教育文化研究センター運営委員長  数見 隆生)