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ゼミナールSirube
未来可能性について考える21
日 時 2025年4月14日(月)
13:30~16:00
会 場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 太田直道 著『人間とその術』
内 容

 テキスト『人間とその術』と太田先生作成の補足資料を読み合い、その内容について意見交流しながら学習して行きます。テキストは、毎回1節ずつ読み進める予定でいます。
 今回は、「第8講 術と時間-時間の森を生きる」の 《1 歴史のなかの生》です。

前回の
様子

 今回は、日本的空間について。日本人の空間意識を律してきたものは内部と外部とのあいだに横たわる境界とオク。人間の生活領域としての空間を内とするなら、それを越えて「オク」へ「オク」へと進むほど空間の聖性は高まり、また秘儀的隠密的空間になる。このようなオク性は、賓客しか通さない奥の間、奥様、大奥、陸奥など日本の空間意識全般に通じているという。
 また内と外とをわける境界は、「縁側」のように内と外の両方に属して仲介的役割を果たしたり、逆に「のりしろ」のようにいずれにも属さない緩衝帯の役割を担ったりする。テキストでは、ベルクの『風土と日本-自然と文化の通態』の空間構成なども示しながら、オクとオキ(沖)は同じものを意味し、山に向かえばオクであり、海に向かえばオキであると紹介している。
 しかし、このような日本人の空間意識を律してきた境界も1960年以降の経済優先の国土開発のもとで破壊されていった。近年、猿や熊が市街地に姿をみせ人々に危害を加えたり生活を混乱させたりして大きな問題になっているが、そもそもは人間が境界を踏み越え自然破壊したことに原因があるのであって、動物たちからすればなんと身勝手なということになるだろう。
 それから加藤周一の説によりながら、境界に着目して日本の歴史を振り返ってみると、日本は歴史のなかで境界を開いたり閉じたりしてきており、外部世界とは恒常的な理性的関係や対等互恵的な関係を保つことができず、共通的な公共空間が育たなかった。その一方で、内向的な『閉じこもり文化』が洗練されていった。
 ほかに、日本人の空間観を特徴付ける性格として、繁盛する旅館が建て増しに建て増しを重ねて旅館を拡張していくように、次から次へと継ぎ足し広がっていく「建て増し」主義の思想がある。この特徴は、現在の都市空間の形成においても見られるものである。