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ゼミナールSirube
未来可能性について考える18
日 時 2024年12月23日(月)
13:30~16:00
会 場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 太田直道 著『人間とその術』
内 容

 テキスト『人間とその術』と太田先生作成の補足資料を読み合い、その内容について意見交流しながら学習して行きます。テキストは、毎回1節ずつ読み進める予定でいます。
 今回は、「第6講 アルスの世界-神は美である」の 《3 技術から芸術へ》を読み合います。

前回の
様子

Shirubeの感想 11月25日(月)
 今回は、第二部 人間の術へ/「第6講 アルスの世界」の「二 現代における『術の倫理学』」 でした。これは、人間の活動と宇宙・社会とのかかわりは、どうあるべきかということだそうです。
 そのことを考える時に、一番大切なことが宇宙論的観点です。それは、人間世界の一切を宇宙の運動の結果として理解すること、あらゆる知識と価値の根源が宇宙にあることを知ることだといいます。人間の制作がこの宇宙論的観点からなされるとき、人間は制作のその意味をおのれのもとに取りもどすということでした。
 具体的にはどういうことでしょう。今回時間の関係で読まずに飛ばしてしまったのですが、小見出し「近代的秩序を超えて」のところで、今日の海洋資源の枯渇について書かれているところが、印象的でした。制作ではありませんが、自然の秩序を顧みず、無制限な消費生活をする人間が魚を乱獲する結果、全生命の源である海、宇宙の歴史の結果として今ある海洋資源が「生命の豊かな揺籃の場であることを止め、たんなる海水になるかもしれない」ということは、想像するだけで、ぞっとしてしまいます。
 宇宙というのはコスモスで、調和・秩序を表し、対義語がカオスで、混沌・秩序以前・無というのも、面白いと思いました。

 それから、太田先生は、宇宙にも関心を持たれ、今の天文学には革命的な変化が起きているとおっしゃっていました。今の天文学では、宇宙はユニバース(1つ)ではなく、マルチバース(複数)だといいます。これによって、ビッグバン説も変わるかもしれないというのですから、私たちの宇宙観も、変わっていくことでしょう。それは、天動説から地動説に変わったことより、大きなことらしいです。天文学も学びたいところです。

 今回詳しく説明されたゲーレンの制度論は、難解でした。私たちは社会の枠の中で生きているという話らしいのですが、太田先生は、「人間の意志は根源的な自然の秩序に対応しており、社会的制約を超えている」と、ゲーレンの理論には、反対しています。ゲーレンの理論では、人間の自由な主体性や創造性が否定されてしまいます。確かに時代や社会の制約はあるものの、私は、その制約の壁にぶつかってなお、人間は創造性を発揮すると思います。

 近代的生産における心の汚染とは、利益や我欲への執着です。その執着を捨て去ることが「放下」です。放下するためには、発展を善と捉えないこと、「逓減」の社会へ進んでいくことです。太田先生は、今ちまたで流行っているSDGsは、国連の大きなまちがいだと強くおっしゃっていました。持続的な開発目標なんて、あり得ないのです。開発は持続可能ではないのです。世界中のみんなが、地球が壊れる前に、早くそのことに気付いて欲しいと思います。
 宇宙論的観点、逓減・・・今回も大切なことを学びました。