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『教育』を読む会4月例会

日時 2023年4月22日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 『教育』2023年4月号
内容

【4月号】
特集1  たのしんでいくしかないしね
特集2  子どもを育む様々な職種の人たち

4月は、子どもも教師も新たな仲間や先生との出会いに期待と不安でわくわく、どきどきです。
特集1は、どうしたら子どもたちと一緒にたのしい学校生活をつくって行けるのか? たのしい教育実践とそれを育む教師の姿を取り上げます。
特集2は、子どもたちの生活や成長に、直接あるいは間接にかかあわる様々な職種の大人たちや先生たちを取り上げます。

今年に入ってから、現場の先生たちの新たな参加が増えています。理論(研究)と実践がともに語られ交流する貴重な場になればいいなあと思っています。

前回の
様子

宮城『教育』読者の会3月例会の感想

3月18日(土)10:00~12:00に、みやぎ教育文化研究センターで『教育』を読む会を開催しました。参加者は11名でした。

今回は、『教育』2023年3月号の特集1「新しい世界と自分が啓かれる学力、教養」に寄稿している大久保達郎さんに参加いただき、大久保さんの教育実践記録「思いが咲く『こころのはな』」を輪読し、実践のようすや子どもやクラスについて詳しくお尋ねしながら、読み深めていきました。

大久保さんがかかわった小学校一年生のタツキは、図画工作の時間で他の子どもたちが思い思いの好きなものを楽しく描く中で、「何描けばいいか分かんない」状態でした。
大久保さんは、タツキを含めた子どもたちがアサガオに優しく、大切に関わっていることをみて、自分がつくり出す表現や作品に対してもアサガオに対して愛情を注ぐようになれば、より一層自分の表現に自信を持ち、自分の思いを追求しながら活動に取り組むことができるのではないかと考えました。そこで、「こころのたね」と名付けた小石を素材に、自分の気持ちを色や模様で表現をさせ、それをもとに「こころのはな」を画用紙に描き、互いに鑑賞し合う教育実践に取り組みました。描くことに躊躇していたタツキも、水色とエメラルドグリーンの2色で小石を丁寧に塗って完成した「こころのたね」を「みずいろくん」と名付け、大きな渦巻の形をした黄色の花と、青、緑、灰色、虹色の小さな渦巻の花を描いていきました。
大久保さんは「ぐんぐんカード」に、「こころのたね」や「こころのはな」への思いを書かせ、蓄積させていった。タツキは、こころのたね(みずいろくん)に「からふるなおはなをさかせてあげたよ」と呼びかけ、こころのはな(きいろくん)には、「みんながちゃんと育ちますように」と書いていた。「みんな」とは他の小さな花のことで、きいろくんは親の花なのではないかという参加者の読み解きもありました。
鑑賞会のときに、タツキが自分の作品の前で両手を合わせているのをみた他の子どもたちも自分の作品の前で両手を合わせ始めたことについて、大久保さんはこの実践を始めた時期も影響したのではないかと語りました。実践を始めたのが10月で、11月くらいに鑑賞会を行ったからこそ、他の子どもたちもタツキの性格や特性を認め、タツキと一緒に祈るところまできたのではないかということでした。

議論のなかで、大久保さんの実践は子どもの表現を尊重し、子どもが自ら表現したものを慈しみ、育てていく過程を大事にする点で意義深いものだという感想がありました。みずいろくんという、抽象的だが具体的なもの、表現の素体となるようなものがあったからこそ、タツキはこころのはなを描くことができたのではないかという発言もありました。
図工における技能指導が、子どもじしんの表現したい要求とどう結び合いながら、どのように展開していくのがよいのかという点についても話が及びました。技能差が直接的に出る教材(素材)より、発想の多様性が生まれることを大切にして教材(素材)を選ぶことは体育など他の教科でもあるが、表現がわりと率直に行われる小学校中学年から、高学年になったときの声がけについては、また違ったものになっていくのかもしれないという話にもなりました。
大久保さんの教育実践は、「自分の思いを自分なりに表現できたか」を大切にし、子どもが自らの表現したものと対話しながら、表現そのものを豊かにしていくものだと思いました。

続いて、仙台第三高等学校(仙台三高)で51年ぶりに「生徒会長」を復活させ、学校の歴史を動かした過程にかかわった当事者の先生から、実際にどんな動きがあったのかをお話してもらいました。仙台三高は長いこと、代議員会、執行部、監査委員会、会計の「四権分立」が半世紀続き、執行部が何かしたくても代議員会が議決権をもち、いっぽう代議員会も選出された代議員が単に各クラスの意見を伝えるだけのものとなり、全体として生徒による意思決定の仕組みが機能しない状態になっていました。
そこで、生徒会に執行権と議決権をもたせる仕組みへと変えたいと立ち上がった代議員長を、生徒会担当として見守り、丁寧な関わりを続け、他の生徒に発信し、賛同者を増やしながら、半世紀ぶりに生徒会長が復活しました。2023年度から新体制となり、来年度からどんな活動をしていけるかが大切になるということでした。
生徒たちが、長い期間維持されている仕組みを、力を合わせながら変えることができた経験は、現在の学校教育を考えるうえでとても大切な意味があると思います。生徒会長による活動と、この生徒が取り組んでいる地域振興に関わる探究学習を関連付けた取り組みも模索されているようです。

話し合いのなかでは、現在の高校は、日々の授業も、探究学習も、部活動もあってどんどんと新しいものが積みあがっていく忙しさがあり、生徒会活動に参加することで学校生活に関わる条件の改善などプラスの意義が見えにくいと、積極的な参加を継続することが難しいかもしれないという話も出ました。しかし、教師自身が多忙な現状を認識しつつも、生徒が自己選択・自己決定していく過程を支え、新しい考え方や仕組みを一緒に作っていくことで生徒と育ち合うような活動は、現在の学校教育には欠けているものとして、意義の大きいものではないかと考えました。
(文責:本田伊克)