New

ゼミナールsirube 3月例会

日時 2023年3月20日(月)
13:30~16:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 太田直道 著『人間教育の哲学史』、お持ちでない方にはコピーします。
内容

研究センターの日誌によると、太田先生の著書『人間教育の哲学史』をテキストにゼミが始まったのは、2014年の6月16日です。ゼミは、テキストをもとにしながらも、太田先生作成の独自資料を使ったりテキストで扱っていない哲学者を新たに取り上げたりしながら、ゆっくり慌てず一歩一歩進めてきました。
開始から約9年、このゼミもとうとう最終回となります(あくまで予定ですが)。
今回は、原点に戻ってテキストP457「3 教育の未来への一つのスケッチ」を読み進めます。

前回の
様子

2月の会は、マシュー・リップマンの著書『探求の共同体 考えるための教室』からの抜粋資料にもとづいて学習をしました。
リップマンは、1923年アメリカ生まれ。2010年没。コロンビア大学で博士号を取得した後、同大学で19年間にわたり哲学の教員を務める。1969年に教材用の哲学小説『ハリー・ストットルマイヤーの発見』を執筆して、子どものための哲学と呼ばれる哲学対話教育を創始。1972年にニュージャージー州のモンクレア州立大学に移り、1974年に同大学内に「子どものための哲学推進研究所(IAPC)」を設立する。以降、この研究所を拠点にして、世界各地で子どものための哲学の普及・推進に尽力。子どものための哲学の教材や教員用マニュアルを多数開発し、理論書も執筆。子どものための哲学の創始者として、現在に至るまで大きな影響を残している。

★リップ・マンにとって教育・学校の役割は、民主主義社会を担う理性的姿勢(判断によって鍛えられた合理性)を持つ市民の育成にあり、子どもたちを理性的に取り扱うことはもちろん、カリキュラムから教科書、試験や教育方法に至るまで学校教育のすべての側面が理性的姿勢を持ち、合理的に説明できるものではなくてはならない。
★既成の学校で行われている教育実践は、「知っている者から知らない者への知識の伝達」(知識伝授型)による教育であり、リップマンはそのような教育のあり方を、反省的で批判的な教育実践(探求型)、すなわち探求の共同体による実践に転換する必要があるとした。
★探求と反省は、この世界についての知識や出来事・現象について「どうして」「なぜ」という疑問や関心を抱いたときに始まる。したがってカリキュラムは「明瞭で確固としたもの」ではなく、生徒を刺激する「教科における不確定で問題含みの側面を明らかにするもの」でなければならない。
★探求の共同体には、次のような特徴がある。①探求の共同体には目的がある。探求のプロセスが、いかに部分的で暫定的なものであろうとも、ある種の解決や判断といった成果を得ることを目指している。②探求のプロセスには、方向感覚がある。③探求のプロセスは、対話的であり、進行手順に関するルールがある。④理性的姿勢、創造性、ケアが探求の共同体にどのように当てはまるのか考察する必要がある。⑤探求の共同体を利用して、批判的思考、創造的思考、ケア的思考の定義に内実を与え、実行するという問題がある。

以下、ゼミでは探究の共同体の主要なキーワードとなる批判的思考、創造的思考、ケア的思考や価値と価値教育、ならびに判断力の教育などについて資料をもとに学習しました。