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『教育』を読む会3月例会

日時 2023年3月18日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 『教育』2023年3月号
内容

【3月号】
特集1  新しい世界と自分が啓かれる学力、教養
特集2  人と出会い、文化と出会う

子どもは具体的な学びを通して他者や世界と出会い、また、その中で新たな自分自身を再発見し、変容を遂げていく。特集1では、教室での具体的な実践に即しながら、実践の持つ意義や豊かさとともに「学力」「教養」とは何かを考えたいと思います。特集2も、特集1と同様の問題意識を持ちながら、教科研全国大会で報告された実践の中から、主に中・高の実践を取り上げた。
(「教育」扉のことば、編集後記を参考に作成)

前回の
様子

『教育』を読む会2月例会の感想

2月23日(土)10:00~12;00に、『教育』を読む会の2月例会を行いました。参加者は、11名でした。
2023年2月号の第1特集「性的同意と教育の課題」について読み合いました。
今回の特集については、「いつ、誰とどのようにふれあうかということを決めることができるのは自分自身であること」(北山ひと美論文15頁)、このことを性的関係においても、友だち関係においても互いに尊重し合うことを「同意」として位置づけています。
性交同意年齢を13歳とする刑法の規定は明治時代から変わらず、2022年10月24日の刑法改正「試案」でも曖昧な規定になっています(片岡洋子論文6-7頁)。いっぽう、「性交」について教えることについては中学校学習指導要領に「妊娠の経過は取り扱わないものとする」という「歯止め規定」が設けられている矛盾があります。
性的な交わり、性的な関係をもつことについての教育がなされていないのに、法的には13歳以上の子どもは性交同意について意味もわかり、責任をもって判断できるという扱いになっているのです。
今回の特集は、性教育の流れのなかでも「同意教育」(片岡論文7頁)の視点を軸に組まれています。相手が嫌がっている、同意のない行為は暴力であることを認識し、「子どもたちが平和的に生きられる心とからだと関係性を保障すること」(同10頁)を尊重する視点から、教育の課題を見出していく課題意識に貫かれています。
北山ひと美さんが指摘するように、日本に独自の“裸のつきあい”が親しさを増すと考える“からだ観”(12頁)を教育者の側も見直しながら、互いに「ふれあう」ことの心地よさと危うさの両方についての感受性を高めていくことも大切であると思いました。
「他者を侵害する行為が日常の遊びとして受け入れられ、同意の尊重とは真逆な親しさが形成される」(9頁)ことは、“弱い立場”の相手の気持ちを無視したいやがらせや迷惑行為であり、暴力です。
こうした認識に立ったうえで、お互いの身体を感じ合い、共に生きていることを確認し合うような文化をどのように培っていくか。岡野さえ子さんの「ふれあい文化」(26頁)実践はこの点について興味ある取組みだと考えました。
村中里子さんの論文は、私たちが生きているこの社会に能力による比較や差別・格差が蔓延し、生きづらい社会の沈殿物として生み出される支配欲をなくしていくことが、性暴力を根絶し、誰もが生きやすい社会をつくることになる(40頁)と指摘しています。
徳永桂子さんは、中学3年生から共通して出る質問、今まで誰にも聞けなかったであろう質問を紹介しています(31-32頁)。このなかには、自らの性器、生理、性行為、妊娠、異性への認識や異性との関わりに関するもののほか、性自認や生指向、自分とのからだとの付き合い方など、多岐に渡る内容が含まれています。
徳永さんは「からだや性」について、上から目線で指導するのではなく、おとなの責任として共に学んでいくことを心掛けて「オーダーメイド授業」を行っており、性教育に戸惑いがある教師にとっても「教える・相談にのるモデリング」(33頁)にもなっているようです。
徳永さんが紹介する子どもたちの質問について、私たち大人がどう考え、どう答えるのかを考えてみることから、自分とは異なる生と性を営む他者を尊重し合い、暴力のない平和な社会をつくっていく第一歩を踏み出せるのではないかとも考えました。 (文責:本田伊克)