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『教育』を読む会 9月例会 ②

日時 2022年9月23日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 『教育』2022年9月号
内容

【9月号】
特集1  幼少期からの性教育と子どもの尊厳
特集2  ユースワークが創る「もう一つの日常」

ユネスコは、「子どもたちが生まれてから死ぬまでの生涯を通じて、自分たちの権利を守るということを理解し励ますこと」等の「包括的性教育」に、5歳から取り組むことを提唱している。日本でも、2023年度から「生命の安全教育」が本格実施される。しかし、日本の幼稚園・学校には性教育のカリキュラムがない。一人ひとりの子どもの人権を尊重し、性の学習に取り組んでいる教師もいるが、すべての子どもたちが性と人権について学ぶ包括的性教育のカリキュラムが必要だ。特集1では、子どもの権利としての幼児期からの性教育について考えます。

特集2の「ユースワーク」って何? と思う人は多いことだろう。家庭でも学校でも職場でもないユースワークが創り出す「もう一つの日常」としての実践を追うことで、若者たちがゆっくり自己に向き合い、他者と共に育ちあっていく場の保障について考えます。

前回の
様子

9月3日(土)に予定通り、今月1回目の『教育』を読む会を開催しました。
今回は、2022年8月号の第1特集「いま、中学校は?」について、大木一彦論文「校則・行事の変革に生徒会の力を」を輪読し、話し合いました。
大木さんの取り組みは、生徒に「きまり」は「守る」か「破る」かではなく、みんなで守りつつ必要があれば「変える」ことができることを伝え、教師には「きまり」に対する「子どもの声にはきちんと耳を傾けましょう!」と訴え、生徒会の仕組みを通じて子どもたちが実体験として民主主義について学ぶ機会を保障しようとするものです。
話し合いのなかでは、大木実践の意義を評価するとともに、校則については生徒からの要求が出てくる余地があるが、授業のなかで、生徒から学習に対する要求が出され、それに応えていくことは難しいのかもしれないという意見もありました。
この点では、井口真紀さん(「何が英語を嫌いにさせているのか」)の「困った状態をつくる」(21頁)ことに関わって、生徒自身から英語を学ぶことへの要求がどのように生じ、授業の中でそうした要求にどう応えているのかをもっと知りたい気もしてきました。また、金竜太郎さんの実践報告(「歴史学習を通じて現代の生き方を生徒に問う」)についても、差別について歴史的に学んだことが、生徒が日常的に直面する差別の現実について考え、改善していきたいという思いにもつながっているのか、つながっているならそれはどのようにしてつながっているかをさらに知りたいとも考えました。
話し合いの中では、中学校をどのように経験したのかについて、世代の違いや、同じ世代でも経験の中身が異なることもわかりました。こうした中学校経験の世代間、世代内の違いについて、山岸利次論文「新制中学校の歩みと現在」で指摘されているような、「競争・管理の支配的秩序のもとでの生活と学習の『個人主義化、個別化』」(11頁)の進行という状況に照らしながら、もっと出し合い、整理してみる必要も感じました。                                (文責:本田伊克)