東京書籍・中3道徳教科書の分析を行います

道徳と教育を考える会・9月例会(隔月開催)

日時 2019年9月22日(日)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター

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参加費 無料
テキスト 当日配布
内容

今年度に入り中学校の道徳教科書の検討を始めていますが、今回は東京書籍の中学校3年生教科書の分析を行います。またP4Cに関連する動向をユネスコなど世界の動きなどと絡めながらみていきたいと思います。

前回の
様子

7月の会では、東京書籍中学2年生の教科書を検討しました。すでに教科書の検討は、小学校を含め継続しておこなってきていますが、報告者からは、以下のような指摘がなされた。

・多事多彩だが、学習指導要領に沿ってあの手この手でシェイプアップした感がある。東京書籍だけでなく他の教科書も同様だが、出版編集する側が「道徳」で何を目指し、どのような人間像を理想とするのかが伝わってこない。結局のところ、どの教科書も学習指導要領と教科書検定のために22の内容項目を意識した迎合的内容になっている。教科書をつくる側に、人格や教養の形成期の子どもたちを対象としていることに対する信念がみられない。
・特に教材として編集委員会が作成したものは、教科書の品位を落としてできが悪い。他方で生徒の作文が多く使用されているが、その点は歓迎できると感じた。
・「いじめ」と「いのち」について扱った2つのユニットは、いずれもよく推敲され、考えさせるものになっている。編集の苦心の跡があらわれている。
・東京書籍は、教材ごとに関連する他教科を示したりしているが、そのことによって教科としての道徳の固有性が何なのかがわからなくなっている。例えば、よりよい社会を目指して「住みよい社会に」は、防犯カメラをどう評価するかを扱っているが、これなどはむしろ社会科で扱うべき内容ではないかと思われる。その他にも家庭科、あるいは防災教育など、これが道徳なのかというものが散見される。
・一方で、先に上げたいじめやいのち、腎不全の母への移植問題を扱ったものなど、今日的テーマや、考えさせらえる内容のものもある。

話し合いのなかで、中学校現場では授業そのものよりも評価をどうするかの方が大方の課題になっている。授業は、教材会社などの出しているワークシートなどを使って授業をしている。だから授業の実態は、どこも似たり寄ったりという状況ではないかということだった。ある意味では授業のマニュアル化、定形化が進んでいるとも言えそうだ。

後半は、p4cみやぎ・出版企画委員会著『子どもたちの未来を拓く 探求の対話「p4c」(東京書籍)をもとにその内容と取り組み、またその目指す方向性などについて学び合いました。