『教育』を読む会 9月例会

日時 2018年9月8日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 『教育』2018年9月号
内容

特集1 学校スタンダードと無寛容
特集2 教育実践と教育学の再生へ

特集1は、この間も「教育」で取り上げてきている「学校スタンダード」や「不寛容」(ゼロトレランス)な教育のあり方を改めて取り上げ、それらが教育実践や教師の専門職性を変質させるものであることなど、その問題点や課題を考えます。
特集2は、教育科学研究会が現在取り組んでいる「向こう10年を見通した教育研究の方針」づくりにかかわって、それぞれの論者が考える教育の課題を提起したものとなっています。ぜひ、ご参加下さい。

 

前回の
様子

今回は、『教育』8月号の特集1「新学力指導要領と学力、『資質・能力』」の佐貫浩論文「学力・人格と教育実践」を読み合い、話し合いました。新たに憲法学を大学で教える若手研究者も参加してくれました。今後も参加してくれるとのことで、一段と中身の濃い充実した会になりそうです。
佐貫論文は、グローバル資本の世界的展開のもと新自由主義的な思想潮流と政策が日本社会を席巻するなかで、新学習指導要領は「資質・能力」規定によって子どもたちの人格に対する管理と方向付けへと踏み込み、これまで以上に危険な状況にあることを指摘・批判する。また、それに抗する教育課題とその取り組みの方向を示唆した。それらは、教科研でのこの間のさまざまな議論と検討を踏まえたものと言えよう。
その具体的事例の一つとして述べられているのは、かつて広く展開された生活綴方教育の今日的な新たな積極的展開である。それは子どもたちの生活課題と学習要求に依拠しつつ、表現を介して人間的な共感と共同による「人間的真実」と科学的真理(文化と化学によって校正されたカリキュラム)の弁証法的な探究(学習)を通じて、自らの世界を新たに創造する変革主体を形成することだという。またそのような学習を今日的状況の中で展開するためには、子どもたちの置かれている孤立、孤独、競争的敵対、支配と被支配、暴力への拝跪と屈伏、それらによる世界との断絶、社会に対する変革主体性の剥奪などの状況を踏まえたうえで、その困難に挑戦し、学習とケアを統一するものでなければならないという。
話し合いでは、佐貫さんの言わんとするところの全体像はわかるが、使われている個々の言葉について詰めて考えようとすると抽象的。もう少し図示するなども含めかみ砕いてほしい(例えば「(学力+人格)複合体」といった場合の学力と人格、そして新学習指導要領の「資質・能力」は、それぞれどのような関連や構造としてあるのかなど)。また教育実践も、もう少し具体に展開できないものだろうか。佐貫さんの中にあるイメージがもう少しつかめるといい。職業科に勤める高校教師からは、今後の産業界の動向、AI化や高度情報化などに対応した学科やカリキュラムで学校現場の話し合いは行われがちなど、今の現場の状況についても話になりました。