『教育』を読む会 7月例会

日時 2018年7月21日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
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参加費 無料
テキスト 『教育』2018年7月号
内容

特集1 学校に人も、予算も
特集2 ねがいを声にする場をもとめて

「よい」教育を行うには、そのための条件整備が必要ですが、多様化する教育ニーズに対して行政は、その対応を学校現場や教師の誠実さや熱意にまかせ、充分な「人と予算」の整備を怠ってきました。仙台市では、条件整備の一つとして公務支援システム・C4thなるものを全市一斉に導入し、学校の事務・文書処理や管理の効率化(画一化)と一元化、ならびに教職員の多忙化解消を図るとのことです。しかし学校現場からは多くの問題や課題が指摘されており、システム整備が滞って逆に現場は困っているとの話も聞きます。
条件整備を実りあるものにするには、学校現場の声や保護者など当事者の声をきちんと聴く行政の姿勢も問われているように思います。仙台市は今年度から35人学級の導入を中学2年生に、また来年から3年生へと拡充実施するようです。学校現場や市民の声を聴く教育行政の第一歩が動き出したと言えそうです。
特集1では、いま本当に必要な教育条件整備は何なのか、教師や親の願い、教育のあり方も含めて交流していきたいと思います。
特集2は、特集1ともかかわりますが、人々が安心して自分たちの願いや思いを声として発することのできる居場所をどう形づくっていくのか、いけるのか。そうした居場所づくりやそこでの取り組みの報告から考えていきます。

前回の
様子
6月の会は参加者6名で、『教育』2018年6月号を読みました。
 特集2「格差社会を生きる大学生」については、児美川孝一郎さんの論稿(「格差社会のなかのキャリア教育」)が、どんな「キャリア教育」を政策・財界側が押しつけようとし、これに対して、私たちの社会権や労働権を保証するためにどんな「キャリア教育」を対抗的に打ち出していくか、明快に書かれていてよいという感想がありました。
 大学教育の取り組みもそれぞれに興味深いものでした。「教育実践」という枠組みで高等教育の取り組みも位置付ける視角からは、このような「大学教育実践」レポートがもっと必要かもしれません。
 特集1「『大学版学習指導要領』と教員養成」については、教員養成に携わっている方でない読者にとっては、なかなか読むのが大変だったという感想もありました(特集に関わった一人として反省もあります)。
 一方で佐藤隆論稿(「教師の仕事を枠づける文科省流資質能力論」)からは、いま学習指導要領が掲げる「資質・能力」がそもそも教員養成の文脈で出された経緯を思い出しつつ、「教職コアカリキュラム」策定など一連の教職課程統制の進行が何をもたらしているかを知ることができてよかったという声もありました。
 皆で輪読したのは拙稿(「『教授学』の再生をめざしてー国立教員養成系大学の動向と展望」)で、自分の文章がまな板の上にあがるのは大変な緊張感でした(笑)。
 学生のことを顧みず学問の専門性を振りかざすのでもなく、かといって政策が「育成指標」で求めるような狭く画一的な「実践性」でもない「第三の道」を探る必要があるのではないか?
 そんな問題意識から、私自身は、宮城教育大学の歴史のなかでいっとき光を放ち、いまはどちらかというと埋もれがちな「教授学」に光を当てなおしたいと考えています。
 創造的な授業の過程それ自体を研究の対象にするという学の構想。未だ未完のこの課題を、今日と将来の動向を見据えながら再創造していければと考え、打ち上げ花火としてこの論考を書きました。(本田)
 本田さんをまな板のうえに乗せて、ごめんなさい。論考を読みながら自らの学生時代のことを思い出し、そう言えばそういう事もあったなあ、あの取り組みはそういう背景や思いがあったのかと、当時のことを振り返りつつ読ませてもらいました。(キヨ)