ゼミナールsirube 5月例会

日時 2018年5月21日(月)
13:30~16:30
会場 みやぎ教育文化研究センター
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参加費 無料
テキスト 太田直道 著『人間教育の哲学史』
内容

引き続きフレーベルの教育思想を扱います。今回は、テキストの流れで言うと「幼稚園の教育」から「少年期の教育」のあたりをテキストや資料をもとに読み進めます。ぜひご参加下さい。

前回の
様子

4月は、フレーベルの「幼児期の教育」や「遊び」について、テキストや資料をもとに読み進めました。そこで話されたフレーベルの教育思想の要点を挙げると、まずはルソーやペスタロッチーを子どもの自然性の発見者とすれば、フレーベルは子どもの内面性の発見者だと言えます。内面性の誕生を『創世記』における天地創造のように無からの創造として表現した文章は、とても印象的ですばらしいものです。また幼児期における家庭生活や親の役割、特に母親の役割の重要性を述べています。この点では、ペスタロッチ-の母の教育とも共通しており、彼からの影響を感じます。影響という点でいくつか言えば、フレーベルの書いたものの中には、例えば、子どもは人類がたどってきた「すべての事物の発達史と発展史」を内に秘めており、それを再現し云々といったような表現などがみられ、明らかにヘーゲルの影響を見ることができます。しかしながら太田先生に拠れば、フレーベルがヘーゲルの著作をしっかり読んだ、学んだという形跡は見られないとのこと。つまりは、フレーベルの生きた時代はヘーゲル的な見方が社会的にある程度一般化していたことを示しているとも言えそうです。
次に遊びについては、子どもの特性を無力さと意志と夢中に見て取り、その「三位一体のもの」が行動となってあらわれたものを遊びと考えます。そして子どもにとって遊びとは世界の発見であり、自己確信を招き寄せるものです。ちなみに夢中になるということにも、ヘルバルトの没頭との関連を見ることができます。
フレーベルというと幼児教育と恩物のイメージが強く、またそれぐらいしか知らなかったりするのですが、こうして見ていくと、フレーベルの教育思想に流れ込む、この時代のドイツ哲学・
思想界のダイナミックな動きと影響を感じます。